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真選組 24の出来事
女主人公物語 第二話
介立のスタート




「近藤さん!」


飛び散ったのは血で、狙ったのは土方という男だったのに、避けられた矛先が何故か別の男が、偶然のように現れため、槍の先が当たる。

倒れた男を目の当たりに、叫び声と共に赤い少女はその場で駆けつけた隊士達に取り押さえられる。




 屯所内にて、よどんだ空気が流れていた。
 山崎退も少女に関わったとはいえこの空気に飲まれるかのように黙り込む中、その空気をかき消すようにか、近藤は実にのん気な物言いで口を開く。


「いやぁー本当にびっくりしたよ?俺、帰って早々吹き飛ばされたし、怪我はしたけど、生きてるのは奇跡だな。あはっ、はははははっ!」


怪我を負ったその男、近藤勲は、頭に包帯を巻いたまま、タフなのか、能天気なのかとそう思えるくらいに後ろ頭をかくようにして笑っていた。
 斜め右に距離を置いて正座していた隊員の一人である山崎は、近藤に向け呆れた視線をよこしていた。


「奇跡って言うか、普通なら死んでますよ」

「そうか。まあ、俺だけで済んだのは良かったことじゃないか」

 
 腕を組みながらうんうんと頷いた近藤は、ツッコミを誤魔化すようにして口元に笑みを刻んでいたのは。
 あまりにもここにいるみんなの空気が悪いものとなっていたからだった。
 ひしひしと敵意の視線を向けるのは、近藤でも山崎でもなく、手が出せないよう両手を後ろに縄で縛り上げられたまま近藤の前に正座させられた、怪我をさせたあの少女、維留に向けてのものだった。
 血を思わせる赤い髪に雪肌に紫色の瞳が目立つ維留は、いまや頭を垂れ前髪の影に隠れて表情が見えなかったのだが、近藤は悪気があったことではないと思い改め皆へと顔をあげた。


「でだ。その、俺は小さな子供を縛る趣味はないわけだし、そろそろ解いてやったらどうだ? その子も反省しているようだし」


 それに賛同を上げる声もない中、隊士達の気持ちを代弁するかのように沖田総悟が口を開く。
 周りの隊士よりは怒りを露にしていないものの、助ける気はないらしい。


「ですけど、近藤さんに怪我負わせたんですよ」

「いや、もう、血は止めれば出ないし、なんと言うか、日ごろ鍛えてるだけあるのかな。わりと丈夫に出来てるからさ、あははは!!」

「(あははって、あんた)」


 何で笑えるんだと呆れたまま視線を送る山崎達を置いて、沖田が維留を一瞥してから訊ねた。


「どうしゃすんです。そいつの処分は」

「うーん。女の子それも子供を捕らえたままでいるのも考えようだもんな」


 この調子で子供に注意するだけで帰らせそうな様子に、黙って聞いていた土方十四郎は、キリと歯を食いしばり、維留に声をかけた。


「おい、ガキ。近藤さんじゃなく、はじめに狙ったのは俺だよな?。俺はお前とは面識はねぇけど、何で此処に来た」


 刀に手はかけていないものの、顔は普通の子供なら怯えるほど鋭い眼差しだった。
 しかし、ようやく顔をあげた維留は毅然と口にした。


「お前に用があって参っただけだ」

「へぇ、なんのようだよ。内容によってはこのまま帰すわけにゃいかねぇわな」


 腰を上げるようにして、腰に差した刀に手をかけようとする土方が子供相手にキレそうなので、それを見た山崎があたふたと慌てる。
 土方の苛立ちを感じ取ってか、幾分か敵意のそがれた隊士達やその行方を見守る近藤など知るよしもなく、維留は口にした。


「土方、お前を倒しに来た」

「俺を倒しに来ただと、馬鹿を」


 ふぅっと息をついた沖田に土方が目を向けると、普段どおりの口調でのたまった。


「あーもう、そんな季節ですかね。ガキの間でブームなんですかね。土方ぶっ潰せゲームでしたっけ」

「ブームでもねぇよ! 。てか、何季節の風物詩みてぇに」


 いつの間にか、普段どおりの空気に戻りつつあるのに近藤や山崎もほっとするのだが、沖田はそれだけに止まらずなお続けて、


「いけませんぜぇぃ。土方さんを倒すのは俺なんでさァ」

「おめぇもいい加減にしろ!」

「なんです?。なんなら、今からやりますか?」


 維留に向けそうになった刀を引き出すようにして、今度は起きたといつものやり取りで言い合い始めるのに、山崎が口を挟む。


「って、二人ともこん時に喧嘩しないで下さい!」


 話がそれそうになったのに沖田を一度にらみつけた土方が座りなおして、


「倒したいって言うなら、勝負は受けてやる。だがな、子供だと思ってすぐに開放されると思うなよ」


 それを聞いた近藤は眉尻を下げて、


「トッシー、お前のほうが悪人みたいだぞ」

「って、あんたが真っ先にやられたんだろ!」


 土方の言うとおり、先にやられたのは近藤なわけで悪いのは維留の方なのだが、


「いや、俺悲しいけど、お妙さんの愛の拳で殴られなれてるから」


痛みで思い出したのか、途中泣きながら話始めた近藤に、山崎がツッコむ。


「何も泣きながら言わなくても」


続く

ついに、真選組登場
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2012.05.18 
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