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第五話  少女、挨拶とお見送りは簡潔に済ますの巻 

夢小説ではないけれどオリジナルの夢主人公による物語
女主人公でテニプリです

少女、挨拶とお見送りは簡潔に済ますの巻



いつもなら桃城(迎えの運転手と化している)に呼び起こされるようにして来るのだが、今日は自転車が到着するよりも早くに目覚めた為、こうして越前は、外で待つ羽目になっているのだが、やっぱり欠伸は出る。


「あんた、何でいるの?」


 越前は欠伸をかみ締めたまま、何故か傍らに当然のように立つ藍子へと顔を向ける。


「ああ、お見送りというやつだ。日本でもこれが家族の役目だと話していたから、此処にいる」

「・・・・」


 無表情に答えるのに、また親父から妙なことを教わったなどと、笑う南次郎の姿が簡単に思い浮かべてしまい、再び朝の不快さが蘇り越前は無口となる。


「お! おーい、越前ー! 」


 遠くから自転車の音共に、目のいい桃城が玄関で待つ越前に気づいて、笑みを浮かべ手を振るのだが、ふとその仕草も止まる。
 目の前で立ち止まったときに、隣に立つ見慣れない女の子に視線が向いていた。
 黒く長い髪の下、西洋と思わしき白い肌で、吊りあがった大きな瞳、小さな鼻、ピンク色の可愛らしい唇、すべてが卵形の小顔に収まり、手足は長く、服からでもわかる華奢な体はモデルのようだなと感想を抱きながら、越前と同年代というのだけは理解できたか。


「珍しく今日は早ぇじゃねーか・・・・越前。その子はお前の親戚か?」


 美少女の部類には入るであろう女の子が、越前と一緒にいることに自然と興味がわいてそんな疑問を口にしていた。


「親戚ではない。家族だ」

「と言っても、突然降ってわいて出た繋がりのないものだけど」


 越前ではなく答えたのは、藍子だったが、理由付けのように言い返す越前に視線が向けられる。


「おいおい、ちょっと待ってくれよ!。俺には何か話がみえねぇんだけど、どうなってんだよ」

「・・・親父が連れて来て、今は家で居候人となってる。後は自分で説明できるだろ」


 話を振られた藍子は頷いて一歩前に出る。


「僕は、はるばるアメリカからやってきた、越前リョーマの家族であり、兄弟だ。それだけの事だ」

「はぁ~」


 今の説明を聞いても越前の家庭事情が把握し切れなかった桃城だったが、越前は詳しいことは後ですると言って、自転車の後ろへと腰掛、既に行く準備を整えるのだった。
 

続く
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2010.12.28 
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